代表あいさつ

Greeting

学術変革領域研究「超秩序構造科学」の発足にあたり

科学技術立国を目指す日本において、材料科学は国内屈指の得意分野の一つであり、世界の科学界を牽引してきました。しかしながら、近年、アジア諸国の台頭によって、その存在感は急速に失われつつあります。このような状況を脱却するためには、現在でも世界最高水準レベルである分析・解析技術に立脚し、未開拓であった材料科学分野への挑戦が重要だと考えています。

領域概要

Area overview

本学術変革領域研究の対象である「超秩序構造」とは、ドーパントや空孔・空隙 によって形成される特異ナノ構造体を指します。具体例として、点として見なさ れる格子欠陥ではなく異種元素や空孔による複合欠陥、また、アモルファス中で もトポロジカル的なオーダーを示すナノスケール原子配列などが考えられます。 このようなナノスケール秩序、すなわち「超秩序構造」は、「完全秩序」と「完 全無秩序」との間に存在する中間的な構造状態としても捉えられます。「超秩序 構造」は結晶やアモルファスに高機能性を付与する重要な鍵因子、つまり、材料 機能性の宝庫となりうるため、その構造を高度に制御することにより無限の可能 性を創出できます。本研究領域では、「超秩序構造」の観測・理解・制御の研究 に取り組むことで、新しい材料設計のアプローチを開拓し、高機能材料を探索し ます。

計画班

Planning Group

計画班A01-1

エマージェント物性を生みだす
超秩序構造の創出

超秩序構造によるエマージェント物性の創出、超秩序構造の精密解析および超秩序構造と物性の相関解明の為の高品質試料の合成を担う。

計画班A01-2

社会実装に向けた超秩序構造物質
ライブラリーに基づく合成プロセス開発

試料班・手法班により得られる計測・物性データといった超秩序構造物質ライブラリーを活用し、実際に社会実装させるための研究を行う。

計画班A02-1

先端量子ビーム手法群による
ナノ・メゾスケール元素選択構造計測

本領域で合成・開発される超秩序構造物質の機能発現に資する構造の観測を担う。放射光X線・中性子・電子線を駆使した超秩序構造観測のための技術を開発する。

計画班A02-2

超秩序構造物質のマクロスケール
物性と局所電子状態の計測

光電子ホログラフィーの高度化(硬X線対応、原子配列と電子構造の同時計測)を行うとともに、非晶質の様々な物性計測を行う。

計画班A03-1

大規模・高精度な第一原理計算に
よる超秩序構造の機能解明とデザイン

超秩序構造を持つ物質の詳細な構造、物性や反応性を大規模第一原理計算により高精度に解明、予測する。得られる知見に基づいた新規超秩序構造物質の設計を目指す。

計画班A03-2

数理情報科学に基づく
超秩序構造の網羅的解析

秩序を有する物質の詳細な構造を同定し、構造・秩序から物性や反応性を予測するためのインフォマティクス法を開発する。得られた知見を用いて新たな物質を効率的に設計・合成する手法も開発する。